魔女の書庫

空想物語

魔女のことを記した物語が置いてあるところ。
書庫にあるすべての話は、空想でしかない。
魔女がどんな日々を過ごしたのか、気になるものだ。


魔女のとんがり帽子

「ねえ、なぜ繋がれてるの?」

私が所有する大木には、よく人間がいる。

「・・・。」

繋がれた人間は言葉を発さず、じっと私を見ていた。



「なあにあなた、私の帽子見て。欲しいというの」

人間に帽子を近づけ、いたずらに言う。

「いらない…」

人間は重い口を開き、その一言だけ呟いた。

「魔法は使えるのかしら?」

使えないと分かりつつ、手元で魔法を見せながら聞いてみた。

「使えないよ、俺は」

人間は魔法なんて使える訳ないと思っていた。



「仕方がないわね。このとんがり帽子をあげるわ」

「とんがり帽子は魔女の象徴」

「魔力を含んでいるから、あなた自身で外しなさい」

私は人間にとんがり帽子を被せ、口角を少し上げながら言った。


ぼろぼろな獣人を家に誘う魔女

「あらやだこんなところに、ねこの獣人じゃないの」

私は森の中で獣人が寝ているのを見つけた。



「誰…?」

獣人は私に気が付いたようで声を出した。

「私は魔女よ。見てわかるでしょ」

身に着けてる帽子や杖を見せた。

「魔女?初めて…」

うーんと首を傾けていた。

「初めてなの、珍しい獣人ね」

ふふふと笑いながら私は話す。

「珍しいの?」

よく分からないと言った感じに、ぽかんとしていた。

「珍しいわ。森の中に捨てられてるのもね」

ボロボロの布を纏っただけの獣人を見て、捨てられていると分かった。

「そうなんだ…」

獣人は捨てられていることを、初めて自覚したみたいだった。



「どこにも行く当て無いと思うから、私の家に来なさい」

このまま置いていくわけにもいかない私は、家に誘った。

「ありがとう、ついていく」

獣人は素直にうなずいた。


変態弟子と毎日修業する炎使いの魔女息子

俺は魔女の息子で炎が使える魔法使い。

魔女(母)からは可愛い恰好を着せられてしまう。

炎の扱いはまだまだ未熟だけど、毎日修行している。

同行している男は一応弟子だが、魔法がまだ使えない困っていた。



「早く魔法使えるようにならないのか?」

俺は弟子に魔法を教え、修業をしている。

「仕方無いじゃん。できないんだもん」

できないとその場に座り込んでしまった。

「もう、また諦めてる」

ため息をつくように言った。

「諦めてはいない!」

弟子は俺をじっと見つめながら言う。



「そ、そんなじっと見るな。恥ずかしいだろ」

不意に見つめられ、俺の身体の体温が上がった。

「師匠は照れないでください。まったく可愛いんだから」

可愛いとにやにやしながら、弟子は俺の顔を見ながら言う。


萌えるハノと僕のちょっとしたイジワル

「一人でよく来れましたね、ハノ」

僕は椅子に座って待っていた。

「ニルが来いと言ったからじゃないか」

面倒くさそうに歩いて部屋にきた。

「はは、そうだったな」

ハノの方へ向く。



「ニル今日もイジワルなの?」

不安そうに聞いてきた。

「仕方ない。ハノはイジメたくなるからな」

僕は優しく落ち着いた声で言った。

「まったく、何言ってるやら」

ハノは呆れていた。



「ハノ、手を貸して」

僕は手を出して、ハノの手を求めた。

「手は良いけど、なにをするの?」

両手を僕に突き出してくれた。

「こうするんだ」

ハノの手首を合わせ杖を振った。


首輪に翻弄されるヒリスは僕の愛する人

「ヒリス、首輪付けさせてよ」

僕は肩ポンポンと叩きおねだりした。

「嫌だよ。ウルに従っているわけじゃないんだし」

ヒリスは書類整理しながら僕をあしらった。

「そっか、残念。せっかく色々持ってきたのに」

僕はテーブルの空いたところに首輪を並べた。



「持ってきすぎだ。一つに決めて持ってこい」

ヒリスは邪魔だと首輪を積み重ね端に追いやる。

「そしたら首輪をつけてくれるのか?」

僕はヒリスの前で首を傾けて聞いた。

「しょうがないからな、付けてやる」

断る理由が無いみたいな表情をしていた。



「じゃあ今ここで、首輪を一つに決めよう!」

名案が思いつき、ルンルンと杖を取り出す。

「今決めなくても良いのではないか?」

ヒリスはどうなんだと不安な目をしていた。

「待てない。早く君が首輪を付けた姿が見たい」

僕は妄想を膨らませながらワクワクしていた。

「か、勝手にしろ」

ヒリスは楽しむ僕の姿に呆れていた。


魔女息子の俺に同行したいと言ってきた変な奴

「あんた一人か?」

路地裏に座り込んだ俺に話しかけてきた。

「そうだけど。誰お兄さん?」

俺は警戒心剥き出しに言った。

「実は俺も一人なんだ。仲間だな」

男は手を差し出してきた。

「馴れ馴れしいよ。俺は好きで一人になっているんだ」

俺は手を取らず冷たくあしらった。



「そうだ、名前を言ってなかったな。

 俺はランファンだ覚えたか」

男は俺の隣に座った。

「俺はグニスだ」

つい会話の流れで言ってしまった。

「そっかあんたがグニスか。

 魔女の息子だというグニス」

俺の名前を聞いて笑っていた。

「名前がそんなにおかしかったか。

 俺は気に入っているんだけどな…」

俺の名前のグニスは炎という意味があり、

誇らしい名前だと聞いていた。



「すまねぇ。誤解させてしまたようだな。

 名前ではなく、こんな路地裏に

 魔女の息子がいることに笑ったんだ」

男は今まで接してきた奴と何か違うと感じた。

「仕方ないだろ、家出してきたのだから」

俺はこの男には、何でも話せてしまうのではないかと思っていた。


捨て子を見つけた私は持ち帰った

「かわいそうに捨てられてるの、あなた」

私は捨て子を見つけ声をかけた。

「そうだけど、文句ある?」

捨て子は警戒心を剥き出しに声を出した。

「ま、いいわ。早く帰るわよ。

 汚い格好されていたら神聖な森が枯れちゃうわ」

捨て子の下に魔法陣を展開させ、私の家に帰った。



「な!?何をする!俺は、何もできないぞ…」

大声を出したと思ったら、次の言葉はぶつぶつと呟いていた。

「ふふふ、何言ってんの。今からやればいいじゃない」

私は笑って言った。



「あんたの名前教えて。呼ぶとき不便だ」

早速、一歩進んだ気がした。

「私の名前はブレンよ。覚えやすい名前でしょ」

私はウィンクして言った。

「覚えやすいかは、こちらが決めることだ」

捨て子にドライに受け流された。

「ちっ、君はなんて呼べばいいのかしら?」

私は口を尖らせながら聞いた。

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