短編-囲われた少女-

空想物語

暗い時間は突然に訪れる。
抜け出すことができるのは、いつなのか。
あなたを空想の世界へ誘えますように。


【小休止】


【囲われた少女 前編】

 私は囲われている。

 なぜかは聞かないでほしい。
 私は、何も知らないから。
 ここはどこなのだろう。

 最初、目が覚めたとき体育座りしていた。
 紐や手枷や手錠など縛られてはいない。
 床には、封筒に入った手紙が置かれていた。

 封を切り手紙を読むと、
『あなたを囲ってあげる』
 と、一文だけ書いてあった。

 ドアノブに手を掛け、扉を揺さぶってみる。
 開く気配が無い…。

 ドンドン…!ドンドン!!
「誰かいませんか、開けてください!!!」

 叩いても静寂していて、誰かがいる気配もしない。
 光も入らない、この囲いは寂しい。

 寂しいこの囲いには、生活できる設備は整ってあった。
 ここで暮らせというのか。
 何かわからないが、心の片隅に安心感はあった。

 急に始まった思いがけない生活。
 私は、いつここから出られるのだろう。

 気分は落ち着き、冷静さを取り戻していた。
 今、何時か分からないけどご飯を食べ眠りにつく。


【小休止】


【囲われた少女 後編】

 眠りから起き、この囲いはそのままだった。

 また封筒が置いてある。
 封を切り、中の手紙を読む。
『もう大丈夫、あなたを囲いから出してあげる』
 と、眠りについた日とは逆の一文だけ書いてあった。

 ドアノブに手を掛け、扉を揺さぶってみる。
 扉は重いが開きそうな手応えがあった。
 そのまま扉に体重を乗せ開いた。

「うわっ!眩しい!」
 暗闇だった囲いから出たせいで、日差しの明るさに驚いた。

 後ろを振り返ると、寂しい囲いは無かった。

 扉の手紙入れにある手紙を読み、
『外に出れて良かった。あなたを囲うことはもうない。
 寂しがらないで。あなたは踏み出せる人なのだから。』
 別れの言葉が書いてあった。

 囲いの手紙の人に届くか分からないが、
「頑張ってくるよ」
 と、振り返り光の当たる方へ歩き出した。


【小休止】


【最後に】

・最後まで読んでいただきありがとうございます!

・長い長い暗闇の中に居座るのは楽だけど辛い。
光へ歩き出した少女は、楽しそうな顔をしていたのかな。
楽しそうな顔をしていたらいいな(^^)

・空想物語は不定期に更新していきます!
楽しみに待っていただけると嬉しいです☆
お気軽に感想や修正点などのコメントしていただけたらと思います(^^ゞ

・ぜひ、今後ともお付き合いをよろしくお願いします!
空想世界へまたのお越しをお待ちしております<(_ _)>

次の空想物語へ☆お楽しみに☆⇨

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