メイドの書庫

空想物語

メイドのことを記した物語が置いてあるところ。
書庫にあるすべての話は、空想でしかない。
メイドがどんな日々を過ごしたのか、気になるものだ。


かわいい主様とケーキ

「主様ぁー。待ってください」

あらゆる場所で買った品を落とさぬように、主様を呼び止める。

「速く行くよー。お店が閉まっちゃう」

私は元気な主様に呼ばれる。

「待ってください。見てくださいよ、こんなに箱積んでるんですよ」

「もう、頭越えちゃいますよー」

この現状を見て欲しいと、主様に言った。



「仕方ないわね、もうすぐで美味しいお店に着くから頑張って」

「本当に、もうすぐなのですね?うぅ、頑張りますぅ」

腕が重いのを我慢しつつ、主様が指さして行ってしまうのを追いかけた。



「ほらほら、あったよ。ティミニってお店」

主様は立ち止まった。

「やっと着きましたか。中に入りましょ」

品を落とさぬよう、転ばぬように気をつけながらお店に入った。


君の集めた服は僕だけのもの

「なっ!?なんだ!このひらひらする服は!?」

目を覚ました僕は、服が変わっていたのに驚き混乱した。



「やっと起きたか」

君は退屈そうな顔をしていた。

「起きたけど服は?」

周りを見渡し君に聞いた。

「見てわかる通り、服は着替えさせたよ」

見ればわかることを君は言った。



「なぜ、メイド服に着替えさせた?」

僕は座り込み聞いた。

「つまらない服より良いだろ」

君は僕の姿を見ていた。

「つまらないって、Tシャツにズボンと普通だと思うのだけど」

いつもの格好を思い浮かべながら言った。

「普通過ぎてつまらないの」

口を尖らせて君は言った。

「だからって他の服はなかったのか」

僕は呆れながら他の服を探した。


メイドの私が付き合うお嬢様の趣味が可愛いのだけど

「おはよう、メイドさん」

私の腰にポンっと手を置く。

「おはようございます、お嬢様」

私は立場が逆じゃないかなと寝ぼけながら起き上がる。



「さ、ご奉仕するために着替えますよ。出てってください」

立ち上がりクローゼットへ歩き、お嬢様へ行った。

「見ていてはダメなの?私だけのメイドなのに」

お嬢様は顔の火照ることを言ってきた。

「まったく恥ずかしいこと言ってないで外へ出てください」

私はお嬢様の背中を押して扉へ追いやる。

「押すな押すな。わかったから」

お嬢様は私に抗いつつ扉の外へ出た。



「もう終わります。少々お待ちください」

ドアの近くに立っている気配を感じ、少し声を張って言った。

「わかった、んじゃ」

お嬢様が不意に扉を開いた。

「まったく、あと少しと言っているではないですか」

急いでメイド服を整えた。

「おお、可愛い恰好しているわ。フリフリ見せつけてくれる」

お嬢様はテンションが上がっていた。

「そんなにベタベタしないでください」

くっつくお嬢様を離した。


姉は妹の秘密の裏側に弱い

「ご主人様ー紅茶持ってきましたよー」

瑠璃はティーカップを乗せたワゴンを陽気に運んでいた。

「瑠璃、気をつけなさいよ」

私はご主人様の本棚を整理しながら、瑠璃を見ていた。

「わかったよーお姉ちゃん」

笑顔で私に手を振っていた。



「ご主人様、今日はアールグレイなのですよ。

 美味しいですよー柑橘系の香りで癒されてくださいね」

瑠璃はご主人様へ紅茶を差し出す。

「いい匂いね。私も後で飲もうかしら」

私は瑠璃の方を向いて、お願いねと目を見つめた。

「どうしたの、お姉ちゃん?こっち向いて」

頭の上に?を浮かばせていた。

「…別に、なんでもないわ」

私は本棚へ向き直り整理の続きをした。

「あれ?お姉ちゃん?」

瑠璃は私の肩へ手をかけた。

「なんでもないわ、瑠璃戻りなさい。

 せっかくの焼菓子もあるんでしょう?」

私の肩にある手を払った。



「まったく、朱璃お姉ちゃんたら。

 後で瑠璃の紅茶も焼菓子もあげないから」

瑠璃は私の耳に冷たい声で囁いて、焼菓子を取りに厨房へ戻った。

「…っあ、瑠璃…ごめっ…」

私は本棚の整理を止め、瑠璃を追いかけた。


掃除するのは私の役目ですよご主人様

「アルクス様ー掃除しに来ましたよー」

私はバケツと雑巾、モップなどの掃除用品を持って部屋に入った。

「いつもありがとうテシー、助かるよ」

ご主人様は優しくお礼を言ってくれた。



「今日は本棚をやります!」

私はご主人様に宣言をした。

「わかった。しかしモップとか大きな掃除用具はいらなかったんじゃないか?」

ご主人様の顔は引きつっていた。

「いるのですよ。最後床を掃いて埃をまとめますので」

私はモップやほうきを持ちながら自慢気に言った。

「なるほどな。よろしく頼んだよ」

ご主人様は圧倒された様子だった。



「アルクス様、本を全てテーブルに置きますね」

本棚からポンポンとテーブルに運んでいった。

「はーい、大丈夫だよー」

ご主人様は作業しながら返事してくれた。

「最近、本多くなりましたね」

本を出しながら呟いた。

「そうだな。合間見て整理しなくてはいけないな」

ご主人様は本多いとメモしていた。


私の想像していた結果と違うご主人様

「アルクス様ー。私のこと好きですかー?」

私はご主人様に聞いてみた。

「テシーのこと好きだが、どうした突然に?」

ご主人様は首をかしげていた。

「やりたいゲームがありまして聞きました!」

私は上機嫌に言った。

「なんか、嫌な予感しかしないのだけど…」

ご主人様はぶつぶつ呟いていた。



「アルクス様、愛してるゲームって知ってますか?」

ゲームしたくてワクワクと胸を膨らませながら言った。

「何だそれは?知らないな」

ご主人様は何だろうと考えていた。



「アルクス様、いたってシンプルなゲームなんです!

 二点ルール説明しますね。

 一、愛してると言って照れたら負けということ。

 二、愛してると言われたらもう一回と言い返すことです」

私は淡々と説明をした。

「なるほど簡単そうだ、照れなければ良いのだな」

うんうんと頷きながら、納得していた。


掃除途中の私の甘え

「瑠璃、こっち向いて」

ご主人様のお部屋を掃除しながら呼びかける。

「何?お姉ちゃん」

手を止め私の方を向く。



「私のこと好き?」

私は首を傾けて聞いた。

「言うまでもないでしょ」

瑠璃は目を逸らして言った。

「たまには言ってほしいわ瑠璃に」

私は頬を膨らまして言った。

「お姉ちゃんはわがままね」

瑠璃が詰め寄って来た。

「別にわがままでは無いわ」

顔を掃除用具の置いている方に向けた。



「仕方ない、お姉ちゃんこっち向いて」

瑠璃は両手で私を逃さないようにしてきた。

「ずっと瑠璃のこと見ているわ」

私は目だけは逸らしていた。

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